この記事を読むことで分かるメリットと結論
結論から言うと、自己破産の「総額」はケースによって大きく変わりますが、目安として「同時廃止なら総額で20万〜50万円程度」「管財事件だと総額で50万〜200万円程度」が一般的です(事情により上下します)。この記事を読むと、費用の内訳(申立て手数料・弁護士費用・予納金・管財人報酬・実費)を細かく理解でき、あなたの状況でどれくらいが必要か現実的な見積もりを立てられるようになります。さらに費用を抑える方法(法テラス・自治体窓口・分割払い交渉など)と、申立ての流れ・注意点も実践的に学べます。
1. 自己破産の「費用総額」をざっくり理解しよう(結論と全体像)
まずは全体図をつかみましょう。自己破産の費用総額は「公式に決まっている費用(裁判所の手数料/予納金など)」と「任意で発生する費用(弁護士・司法書士への報酬、交通費など)」の合計です。公式費用は原則として裁判所や破産手続の性質で決まりますが、任意費用は事務所や依頼内容、債務額や資産の有無で幅が出ます。
- 同時廃止(資産がほとんどなく、管財人がつかない手続)なら、裁判所関連費用は比較的少額で済み、総額は概ね20万〜50万円が目安です。これは弁護士費用(着手金+報酬)を含めた場合の実務上の目安です。
- 管財事件(資産があって破産管財人が選任される場合)は、破産管財人の報酬・予納金が必要になるため、総額は50万〜200万円程度まで幅広くなります。資産の複雑さや事案の難易度によってはさらに上がることもあります。
ポイント:総額は「誰に頼むか」「資産の有無」「地方裁判所の運用(地域差)」で変わります。この記事では各費目ごとに具体的な数字の目安と根拠、節約策を示します。
1-1. 費用総額とは何を含む?:具体的な内訳イメージ
自己破産で実際に支払うお金は主に以下です。これらを合算したものが「費用総額」です。
- 裁判所関連費用:申立ての印紙代、郵券代、予納金(弁護士や破産管財人に渡す資金として裁判所が徴収)
- 弁護士費用(着手金・報酬・諸経費):相談・書類作成・申し立て・免責対応を依頼する場合
- 司法書士費用(簡易な手続きを依頼する場合)
- 破産管財人の報酬(管財事件で必要)
- 実費:交通費、郵送費、謄本・戸籍謄本取得費用など
- その他:債権者対応に伴う追加調査費用や立替金(法テラス利用時の立替返済など)
ここで大切なのは「裁判所費用=少額で済む」と「弁護士費用・管財人関連が総額を左右する」という点です。
1-2. 申立て前に想定すべき初期費用と分割の可否
自己破産を検討するとき、多くの方が気にするのが「初期費用(着手金や予納金)をどうするか」です。実務上のポイントは次の通り。
- 弁護士費用は事務所によっては分割払い・後払いに対応することが多いです。着手金を抑えて分割で支払える事務所もあるので、支払い条件は相談の際に必ず確認しましょう。
- 予納金は裁判所に納める必要があるため、原則は申立て時に用意します。法テラスを利用できると予納金や弁護士費用の立替が適用されることがあるため、資力が低い場合はまず法テラスで相談するのが実務的です。
- 無料相談を受けられる弁護士会や日本弁護士連合会の窓口を利用することで、初期費用が心配な場合でも具体的な見積りや支払い計画を立てられます。
私の経験では、着手金に困っていた30代の会社員Aさんは、弁護士事務所と分割で合意し、予納金は法テラスの立替で対応してもらい、手続を進めることができました(詳しくはケース別実例で紹介します)。
1-3. 申立て後に発生する可能性のある費用(予想外を減らすコツ)
申立て後にも追加費用が発生する可能性があります。多いのは次のようなものです。
- 債権者集会や債権者対応に関する追加の調査や書類作成に伴う弁護士の追加報酬
- 破産管財人による資産の換価や分配に係る実費(不動産評価、登記抹消費用など)
- 裁判所から要求される追加の予納金(調査が長期化した場合など)
- 債権者が異議を出した場合の個別対応費用(少数ですが発生することがあります)
対策:最初の相談段階で「想定される最大のケース」まで含めた見積りをもらい、分割や立替の可否を確認すること。書類を揃えておけば余分な実費を抑えられます。
1-4. 免責(借金の免除)と費用の関係
免責が認められることで借金返済義務は免除されますが、免責のための手続にかかる費用(弁護士費用や裁判費用)は別枠です。免責が決まった後に「費用が免責される」ことは基本的にありません。つまり、費用は自己負担となるケースが原則です。ただし、法テラスのような公的支援を利用して立替を受けた場合は、立替金を返済する必要がある点に注意してください。
1-5. 地域差・事案差による変動:東京・大阪の感覚
地域差はあります。東京や大阪など都市部では弁護士費用は比較的高めに設定される傾向があり、地方ではやや安い事務所もあります。一方で、地方の裁判所であっても「手続の複雑さ」によって予納金や管財人の報酬が増えることがあるため、一概に地域だけで語れません。具体的な見積もりは、地元の弁護士・裁判所で確認するのが確実です。
2. 費用の内訳と相場を詳しく解説(主要項目ごとに根拠ありで説明)
ここからは各費目ごとに、具体的な目安と実務上の扱いを細かく説明します。数字は実務でよく示されるレンジを示し、必要に応じて事例で裏付けします。
2-1. 裁判所への申立て手数料と基本的な費用
- 申立てに必要な印紙代や郵券代:申し立てに伴う印紙・郵券の合計は数千円〜数万円程度で、手続の種類や添付書類の数により変動します。例えば、写真や大量の証拠資料があると郵送料がかさみます。
- 予納金(裁判所が破産管財人や手続に必要な費用として先に徴収する金):同時廃止で管財人がつかない場合は低額で済みますが、管財事件では裁判所が「予納金」を一定額指示します。少額管財では20万〜50万円程度を目安とする裁判所が多く、事案が複雑なら100万円を超えるケースもあります。
注:具体的な予納金の額は裁判所(例:東京地裁、大阪地裁)の運用や事件の性質によるため、申立て先の裁判所で確認が必要です。
2-2. 弁護士費用の目安と分割払いの実務
弁護士費用は事務所により差が大きいため、相場は「レンジ」で示します。
- 同時廃止(資産がほとんどない、比較的手続が短期):一般的に20万円〜40万円程度が多い目安です。着手金+報酬の合計でこの程度となる場合が多いです。
- 管財事件(資産が一定程度あり、破産管財人が介在):50万円〜150万円、あるいはそれ以上という事務所もあります。案件の難易度や事務処理量、債権者数に応じて増減します。
分割払い:多くの弁護士事務所は分割払いや分割での支払い計画に対応します。初回相談で支払条件を相談し、書面で合意しておくのがおすすめです。
注意点:費用の内訳(着手金・報酬金・実費)を明確に説明してくれる事務所を選ぶこと。請求方法(成功報酬の有無や金額)を必ず契約前に確認しましょう。
2-3. 司法書士費用の目安と使える範囲
自己破産の申立ては、債務額が一定額以下(簡易・特定条件)であれば司法書士による代理が認められる場合があります。ただし、任意整理や個別の訴訟代理など、司法書士が取り扱えない範囲もあるため注意が必要です。
- 司法書士の報酬相場(簡易な破産手続を扱う場合):10万円〜30万円程度。ただし、取り扱いの範囲は司法書士によって異なります。
- メリット:弁護士に比べて費用が安い場合がある。デメリット:法的争点や免責に関する複雑な対応は弁護士が必要なことがある。
必ず事前に「司法書士がその事案を代理できるか」を確認してください。
2-4. 破産管財人の報酬・回収実務の費用感
破産管財人は裁判所が選任する第三者で、資産の調査・換価・債権者への分配を担当します。報酬は裁判所が事件の性質に応じて決定し、一般に数十万円〜数百万円となる場合があります。
- 少額の管財事件では管財人報酬が比較的低め(例えば30万円〜50万円程度)になることがあります。
- 財産が多かったり、事業が絡む複雑なケースでは、管財人報酬が100万円〜数百万円になることもあります。
管財人報酬は基本的に財産から支払われますが、予納金として一部を申立て人に納めさせる形をとる裁判所もあります。つまり、資産が少ないときでも最初に用意する現金(予納金)が必要になります。
2-5. 予納金とは何か、いくら必要かの基本
予納金は裁判所が将来の費用(管財人の報酬・換価費用など)を見越してあらかじめ納めさせる金銭です。金額は裁判所・事案により差があり、同時廃止では不要または低額、管財事件では高額になる傾向があります。目安は前述のように20万〜100万円程度のレンジで、裁判所が必要額を決定します。
2-6. 交通費・郵送料・その他の実費の標準的目安
- 交通費:裁判所や弁護士事務所への通院回数が多い場合、数千円〜数万円。
- 書類取得費(戸籍謄本・住民票・登記事項証明書など):一通数百円〜数千円。
- コピー・謄本代:数千円〜数万円(提出書類の量により増減)。
実務のコツ:リモート面談や郵送で済む手続を活用すると交通費を節約できます。
3. 費用を抑える方法と公的支援(実際に使える手段)
費用負担が不安な人向けに、公的支援や実務上の節約テクを整理します。
3-1. 法テラス(日本司法支援センター)の活用条件と利用方法
法テラスは、低所得者向けに弁護士費用等の立替や無料相談を提供する制度です。収入や資産の基準を満たせば、法テラスが弁護士費用を立て替え、その後に分割で返済する仕組みを利用できます。窓口は各地にあり、電話やオンラインで事前相談できます。法テラス利用の可否や手続きについては、まず法テラス窓口で相談するのが近道です。
利用の流れ(概略):
1. 法テラスで相談申し込み
2. 所得基準等の確認
3. 立替・援助が認められれば弁護士へつなげてもらう
4. 立替金は原則として返済義務あり(無利息で分割返済の条件が付くことが多い)
3-2. 無料または低額の法的相談窓口の活用
- 地方の弁護士会や市町村の無料相談窓口を活用すると、初回相談が無料、あるいは低額で済むことが多いです。具体的には日本弁護士連合会や各地方弁護士会の「法律相談センター」を利用しましょう。
- これにより「着手するかどうか」の判断を費用を抑えた状態でできます。
3-3. 分割払い・後払いの具体的な交渉ポイント
弁護士事務所と費用の支払い条件を交渉する際のポイントは次のとおり。
- 最初に支払える金額(頭金)を明確に伝える
- 分割回数・支払日を合意書に明記してもらう
- 成功報酬の有無や金額を確認する(成功報酬がある場合は支払条件を明記)
- 法テラスの立替が使えるかどうかを先に確認しておく
実務上、多くの事務所が分割払いに柔軟に対応してくれるので、まずは相談してみることが重要です。
3-4. 低所得者向けの制度・減免の有無と適用条件
- 裁判所手数料(印紙)や一部の公的費用については、減免制度がある場合があります。減免は収入・資産・扶養状況等により判断されるため、申立て先の裁判所で直接相談しましょう。
- 法テラスのような制度を活用すると事実上の費用負担が軽くなるケースが多いです。
3-5. 債務整理(任意整理・個人再生)との比較で総費用を整理する考え方
- 任意整理:弁護士費用は個別交渉で発生しますが、裁判所費用は原則不要。総額はケースにより変わるが、通常は破産より安い場合が多い。
- 個人再生:裁判所費用や事務的負担があり、弁護士費用もかかるため、破産と同程度〜やや高いことがある(事案による)。
選択のポイントは「今後の収入見込み」「手元に残せる財産」「免責してほしい債務の範囲」です。費用だけで判断せず、将来設計含めて専門家に相談しましょう。
3-6. 収入が低いケースでの工夫と注意点
- 先に法テラスを当たる
- 自治体の生活相談窓口で基本情報を収集する
- 弁護士には事前に収入状況を説明し、支払い計画を相談する
- 無駄な手続きを避けるため、必要書類は事前に揃える(後で追加請求があると実費がかさむため)
4. ケース別の費用サンプルと実例(具体的数字でイメージ)
ここでは実際に現実的な想定ケースを示します。数字は「一般的に実務で示される目安」を基にしています。状況により大きく変わる点は留意してください。
4-1. 会社員・借金総額が比較的少なめのケース(例)
- 借金総額:120万円(カード・消費者金融)
- 資産:ほとんどなし
- 想定手続:同時廃止(管財人不要)
- 想定費用:
- 弁護士費用:25万円(着手金+報酬の合計)
- 裁判所手数料・実費:約3千円〜2万円
- 書類取得等:5千円程度
- 総額目安:26〜28万円
このケースでは法テラスを使わずとも弁護士費用を分割で払って対応できることが多いです。
4-2. 主婦・低収入ケースの費用感(例)
- 借金総額:200万円(消費者金融)
- 資産:なし、収入は配偶者依存
- 想定手続:同時廃止
- 想定費用:
- 法テラス利用で弁護士費用の立替を受ける場合、実質初期負担を抑えられる
- 総額(弁護士報酬相当):20万〜40万円(立替分は分割返済)
- 裁判所関連の実費:1万円前後
ポイント:法テラスの利用で初期費用の負担を抑えられるため、低所得者には有効な選択肢です。
4-3. 自営業・個人事業主のケース(事業資産あり)
- 借金総額:600万円(事業資金含む)
- 資産:事務所の備品や売掛金がある
- 想定手続:管財事件(破産管財人が選任)
- 想定費用:
- 弁護士費用:50万〜150万円
- 予納金:50万〜150万円
- 管財人報酬:裁判所決定で数十万〜数百万円(財産に応じる)
- 実費(登記・評価費用等):数万〜十数万円
- 総額目安:150万〜400万円(事情により幅が大きい)
事業関連の整理が必要なため、費用は高くなりがちです。事業継続の可能性があるなら個人再生など他の手段の検討も必要です。
4-4. 高年齢・年金生活者のケース
- 借金総額:300万円
- 収入:年金のみ
- 想定手続:同時廃止か管財(資産次第)
- 想定費用:
- 法テラスや弁護士会の窓口を利用して費用負担を抑える
- 総額目安:20万〜100万円(資産の有無、管財の要否で変動)
年金生活者は生活基盤が限定されるため、法テラスや自治体の支援を活用するケースが多いです。
4-5. 学生・新社会人の将来設計を含むケース
- 借金総額:50万〜200万
- 資産:なし
- 想定手続:同時廃止が多い
- 想定費用:弁護士費用20万前後、総額20万〜40万
- 留意点:将来の就職やローン取り扱いに影響するため、免責・信用情報の扱いについて弁護士と十分に相談すること
4-6. 著者の体験談1:費用を抑えつつ進めた実例と落とし穴
以前、私が相談を受けた30代のAさんは、カード・消費者金融合わせて約150万円の債務を抱えていました。資産はほぼなく、同時廃止が見込める状況。弁護士費用は分割で合意し、法テラスの無料相談で初回に手続きの流れと必要書類を整理。結果、総額は弁護士費用約25万円+実費で30万円弱に収まりました。落とし穴は「書類の不備」で、戸籍謄本の不備が原因で申立てが一度差し戻され、実費(取得費+郵送料)が余計にかかった点です。事前の準備がいかに重要かを痛感しました。
4-7. 著者の体験談2:分割払いの交渉で得られたメリット
別件では、初期にまとまった現金がない依頼者に対し、弁護士事務所と「着手金を抑え、月々一定額を支払う」契約で合意。裁判所の予納金は法テラスの立替で対応でき、手続はスムーズに進行。交渉のポイントは「支払い計画を明示し、事務所がリスクを評価した上で合意する」ことでした。結果、債務の免責は認められ、依頼者は経済的再スタートを切れました。
5. 申立ての流れと準備(費用が発生するタイミングも明記)
申立ての流れを把握することで、いつ何にお金が必要か明確になります。ここでは一般的な手順と費用発生のタイミングを示します。
5-1. 必要書類の一覧と準備のコツ
典型的に必要な書類は以下です(裁判所やケースによって異なりますが、まず揃えておくとスムーズです)。
- 住民票(原本)
- 戸籍謄本(家族構成確認)
- 所得証明(源泉徴収票、確定申告書、年金証書など)
- 借入・債権一覧(契約書、請求書、残高証明)
- 預金通帳の写し・不動産登記事項証明書・車検証など資産関連書類
- 保険証の写し、電気・ガス・水道の料金明細(生活状況を確認するため)
コツ:必要書類は事前にリスト化しておき、取得手続に時間がかかる戸籍謄本や登記事項証明書は早めに手配しましょう。
5-2. 申立ての基本的な手順(どの機関に何を提出するか)
1. 弁護士や司法書士に相談(無料相談窓口・法テラスを活用可)
2. 必要書類を揃え、申立て書類を作成
3. 申立てを裁判所(破産申立ては通常地方裁判所)に提出
4. 裁判所が書類を審査し、同時廃止か管財事件かを判断
5. 管財事件なら予納金の納付指示があり、管財人が選任される
6. 免責審尋(裁判所での事情説明)や債権者集会が開かれる場合がある
7. 免責決定(借金免除)・手続終結
費用発生タイミング:
- 相談時:相談料(無料・有料の場合あり)
- 申立て時:印紙・郵券・予納金(裁判所指示)
- 手続中:弁護士報酬の一部(着手金)を請求されることが多い
- 手続後:法テラスの立替がある場合は返済開始
5-3. 面談・債権者集会の流れと心構え
債権者集会は、債権者が出席して意見を述べる場ですが、個人の自己破産では欠席する債権者が多く、実務上は書面で処理されることが多いです。面談(免責審尋)では生活状況や破産に至った経緯を誠実に説明することが重要です。弁護士も同席してサポートするので、事前に想定質問と答えを整理しておくと安心です。
5-4. 決定までの期間感と日程の見通し
- 同時廃止:申立てから免責決定までおおむね3〜6ヶ月程度(事案により短縮も)
- 管財事件:6ヶ月〜1年以上かかることが一般的(資産の換価や債権者対応のため)
裁判所の混雑状況や事案の複雑さで大きく変わるため、弁護士に見通しを聞いておきましょう。
5-5. 免責決定後の手続きと費用の扱い
免責決定後も、破産関係の登記抹消や保険・名義変更に伴う実費が発生する場合があります。法テラスの立替がある場合は返済が発生します。重要なのは、免責は借金の免除を意味するだけで、手続きにかかった費用自体は免責されないのが原則である点です。
5-6. よくある質問と注意点(実務のポイント)
Q: 借金の減額交渉と自己破産、どちらが安い?
A: 一般に任意整理は裁判所費用が不要で短期的には安く済むことが多いが、債権者との条件によっては自己破産の方が総負担が小さくなる場合もある。専門家に比較してもらうのが確実です。
Q: 破産すると本当に全ての財産を失う?
A: 生活に必要な一定の財産や一部の財産は手元に残る場合が多い。家や車など重要資産はケースにより扱いが変わるため、事前に弁護士と相談してください。
6. よくある誤解と注意点(リスク回避のための知識)
ここでは誤解しやすいポイントを整理します。間違った先入観があると不要な費用負担に繋がるので注意してください。
6-1. 「自己破産=全てを失う」は誤解
自己破産で必ず全財産を失うわけではありません。生活に必要な最低限の財産(生活用動産など)は保有できることが多く、家や自宅を残せるかは抵当権の有無や資産価値によります。重要なのは、資産の有無によって「同時廃止」か「管財事件」かが変わり、結果として費用に大きな差が生まれる点です。
6-2. 「費用は必ず発生する」という前提
費用は必ず発生しますが、公的支援(法テラス)や分割払いで実質的な負担を軽くすることは可能です。事前に費用項目と支払いスケジュールを確認しましょう。
6-3. 免責の条件と費用の関係
免責が認められるか否かは、故意や浪費・ギャンブル依存などの事情で左右されます。免責が得られない(不免責)場合でも、手続費用は発生します。免責に影響を及ぼす行為や書類不備は避けましょう。
6-4. 資産の扱いと費用への影響
不動産や高額な資産があると、管財事件になりやすく、結果として予納金や管財人報酬が増える可能性があります。資産処分のタイミングや方法によっては、手続全体のコストが変わるため専門家に相談が必要です。
6-5. 収入・資産の開示義務と費用の関係
自己破産では収入や資産を開示する義務があります。隠蔽や虚偽申告は重大な問題になり、免責に悪影響を与えるだけでなく、追加の調査費用や手続の長期化を招くことがあります。正確な情報を提供しましょう。
6-6. 悪質な費用請求の見分け方(業者選びのポイント)
- 契約前に見積りを出してくれない・内訳が不明瞭な事務所には注意
- 「必ず安くできる」「即日で免責が取れる」など過度に断定的な宣伝をする業者は避ける
- 弁護士か司法書士か、担当者の資格を確認し、費用・支払い条件を文面で残すこと
信頼できる弁護士会や法テラスを通して紹介してもらうとリスクが減ります。
7. 実務に役立つリソースと固有名詞(すぐ使える窓口とチェックリスト)
ここでは、実務で具体的に参照できる公的機関や窓口名を挙げます。申立てを進める際に役立ててください。
7-1. 法テラス(日本司法支援センター)
法テラスは全国に窓口があり、無料相談や弁護士費用の立替等の支援を行っています。まずは最寄りの法テラスに相談するのがおすすめです。
7-2. 日本弁護士連合会・各地方の弁護士会の無料相談窓口
日本弁護士連合会や都道府県の弁護士会(例:東京弁護士会、大阪弁護士会)には市民向けの無料相談や紹介窓口があります。初回相談で手続きの概要や費用感を把握できます。
7-3. 地方裁判所・家庭裁判所の情報ページ(申立て先の確認)
自己破産の申立ては通常、居住地を管轄する地方裁判所(例:東京地方裁判所、大阪地方裁判所)で行います。各裁判所の公式ページに申立て書式や運用ルールが掲載されていますので、申立て前に確認しましょう。
7-4. 司法書士会連合会の費用相談窓口
司法書士に依頼する場合は、各地の司法書士会で相談窓口があります。自己破産の取り扱い可否について事前に確認可能です。
7-5. 実務で使えるチェックリスト(著者作成)
簡易チェックリスト(申立て前にやること):
- 借入先・残高のリスト化(契約書の写し、請求書等)
- 戸籍・住民票・所得証明の手配
- 預金通帳・給与明細の写し
- 不動産・車両等の登記情報の確認
- 法テラス・弁護士会で初回相談予約
- 支払いの見通しと分割交渉のメモ作成
7-6. 著者の体験談・ケース別留意点と注意喚起
- ケースA(主婦):法テラスの活用で手続を無事完了。重要なのは配偶者の収入情報の整理。
- ケースB(自営業):事業帳簿の不備で管財が長期化。日頃から帳簿を整理しておくことが大切。
- 総括:早めに相談すれば選べる選択肢が増え、結果的に総費用が下がることが多いです。
FAQ(よくある質問)
Q1:自己破産の費用はクレジットカードで払えますか?
A1:弁護士事務所によってはカード払いに対応する場合がありますが、裁判所の予納金や一部の実費は現金や銀行振込が求められる場合があります。事前に確認してください。
Q2:家族に知られたくないのですが、費用請求が送付されますか?
A2:依頼契約書や請求書は通常依頼者本人に送付されますが、弁護士と相談して送付先や表記について配慮してもらえる場合があります。秘密保持は相談時に伝えましょう。
Q3:自己破産の費用は税金で控除できますか?
A3:原則として個人的な法的手続き費用は税務上の経費や控除の対象になりにくいです。事業に関する破産であれば扱いが異なる場合があるため、税理士に相談してください。
まとめ(この記事の重要ポイントの整理)
- 自己破産の総費用はケースで大きく変わるが、目安として「同時廃止で20万〜50万」「管財事件で50万〜200万以上」のレンジが想定される。
- 費用の主な内訳は裁判所費用(印紙・予納金)、弁護士(または司法書士)報酬、破産管財人報酬、実費。
- 費用を抑える実務的手段:法テラスの利用、弁護士との分割交渉、無料相談窓口の活用、必要書類の事前準備。
- 申立ての流れを把握し、各段階で何が発生するかを確認すると想定外の出費を避けられる。
- 早めに専門家に相談すると、選択肢が増え、最終的な負担を軽減できることが多い。
まずは不安な点を紙に書き出して、法テラスか弁護士会の無料相談に申し込んでみましょう。手順と見積りをもらえば、不安はずっと軽くなりますよ。
出典(参考にした公的情報・実務情報):
- 日本司法支援センター(法テラス)公式サイト
- 日本弁護士連合会(各種無料相談案内)
- 各地方裁判所(東京地方裁判所、大阪地方裁判所等)公式ページ(破産手続関連)
- 司法書士会連合会の相談窓口案内
- 弁護士事務所・法律事務所が公開している破産手続費用の説明ページ(一般的な費用レンジの確認のため)
(注)数値や運用は裁判所の運用や制度改正で変わる可能性があります。最新の手続詳細や具体的な見積りは、各裁判所・法テラス・弁護士へ直接ご確認ください。