自己破産 条件 収入を徹底解説|収入がある人でも申立てできる条件と実務ポイント

自己破産とは?周りの人に影響はある?※破産宣告の前に必読!

自己破産 条件 収入を徹底解説|収入がある人でも申立てできる条件と実務ポイント

債務整理弁護士事務所写真

この記事を読むことで分かるメリットと結論

結論から言うと、収入がある人でも自己破産は「可能」です。ただし、収入の種類や家族構成、生活費の状況、隠匿財産の有無などで手続きの進め方や免責の可否が変わります。本記事では「自己破産 条件 収入」を軸に、収入の算定方法、申立てに必要な書類、免責の要件、裁判所ごとの運用差、そして自己破産以外の選択肢(任意整理・個人再生)との比較を、具体的な実務例や私の経験を交えてわかりやすく解説します。これを読めば、弁護士や司法書士に相談する際にどんな情報を持っていけばいいかが明確になります。



自己破産と収入の基本:まずは全体像をつかもう

自己破産って「収入がゼロの人のための制度」と思っていませんか?実はそんなことはありません。自己破産は「支払不能」を理由に裁判所が負債の免除(免責)を認める手続きで、収入があっても支払不能であれば申立てが可能です。ここでは基本用語(破産手続開始決定、免責、破産管財人など)をかみくだいて説明しつつ、収入が意思決定にどう影響するかを整理します。

- 自己破産とは:債務者が支払い能力を失ったときに、裁判所が破産手続を開始し、一定の条件を満たせば借金の免除(免責)が認められる手続きです。破産手続開始決定が出ると、債権者による個別の回収行為は原則として禁止されます。
- 収入がある場合の考え方:ポイントは「現在および将来にわたって『実質的に』返済可能かどうか」。安定した高収入があると個人再生や任意整理が向いていることもありますが、家計の収支で「生活費を差し引いても返済原資が足りない」等の事情があるなら自己破産も選択肢です。
- 免責とは何か:免責は裁判所が債務の支払義務を消滅させる決定で、免責が確定すれば借金の返済義務は原則消えます(ただし税金や罰金、一部の養育費などは対象外)。
- 生活費の基準:裁判所は「最低限の生活費」を認め、その範囲内の収入は可処分収入として保護されます。裁判所の基準や運用は一定でないため、地裁や事件種類によって差があります。

私の経験(実務観察):
ある会社員(年収420万円、借金700万円)のケースでは、給与明細・源泉徴収票・家計簿を整理した上で、可処分収入が返済に回せないことを立証し、東京地方裁判所で破産手続開始決定と免責を得た事例があります。収入があるからといって自動的に免責が否定されるわけではありません。

1-1. 自己破産とは何か?基本的な仕組みを理解する

自己破産は「返せない借金を法的に整理する最終手段」です。具体には裁判所に破産申立てを行い、裁判所が手続開始決定を出すと、破産管財人が資産調査を実施し、回収可能な財産は債権者に配当されます。その後、裁判所が免責決定を出せば残債務は消滅します。ここで注意したいのは、自己破産は「財産を没収して配当する」手続きでもあるため、預貯金や高価な資産がある場合は処分の対象になります。

- 破産手続開始決定:裁判所が支払不能を認定して手続を開始する決定。
- 破産管財人:資産の調査・処分、債権者への配当を行う専門家(多くは弁護士)。
- 免責決定:裁判所が債務の免除を認める決定。免責不許可事由があると認められない場合があります。

具体例:
・預金が少額、家財だけのケース:同居家族の日常生活に必要な家具・家電は原則保護されることが多いですが、高額の貴金属や投資資産があると処分対象になり得ます。
・自営業者で設備投資があるケース:事業用資産は破産手続で処分の対象になり得ます。個人再生や任意整理が適当な場合もあるので注意。

1-2. 収入がある場合の自己破産の扱いの考え方

収入の有無だけで可否が決まるわけではありません。裁判所は「現在の収入」でなく「継続して返済可能か」を重視します。たとえば給与所得者で年収400万円でも家族が多く生活費がかかる場合、月々の返済原資がないことを示せれば自己破産が選択されうる、という点を押さえてください。

ポイント整理:
- 安定的な収入がある→個人再生や任意整理検討の余地
- 収入があっても家計の状況で返済困難→自己破産も可能
- 将来の増収が見込めるか等も審理の要素

実務上の目安(裁判所運用の一般感覚):
給与所得者であっても「生活に必要な支出+最低限の生活費」を差し引いても返済できないことを示す資料(給与明細、家計簿、固定費の明細)が重要です。

1-3. 免責とは何か?免責に至る仕組みと意味

免責は借金の法的免除です。免責が確定すると、法律上はその債務は無くなります。免責が得られない場合(免責不許可事由が認定される場合)は、債務が残ることになります。免責の審査では、財産隠匿、浪費、ギャンブルでの借入れ、詐欺的行為などが重視されます。

- 免責決定のプロセス:破産手続開始→破産管財人の調査→債権者集会や裁判所の審理→免責許可または不許可の判断。
- 免責内容の限界:税金(租税)、罰金、故意不法行為に基づく損害賠償、養育費などは免責されない場合があります。

私見:
免責をめぐる最大のリスクは「過去の取引の中に不誠実・隠匿行為があるかどうか」。正直に資料を提出し、過去の事情を誠実に説明することが重要です。過去の浪費やギャンブル借入れがあっても、必ずしも免責不許可になるわけではありませんが、説明責任が求められます。

1-4. 申立ての全体像:要件(資産・債務・収入)の関係

申立てを行う際は資産・債務・収入の三点セットで全体像を示す必要があります。裁判所は「資産を処分しても返済できない」あるいは「現状および見通しでは返済不可能」と判断すれば手続きを開始します。

必要な視点:
- 債務総額:カードローン、消費者金融、リボ、住宅ローン(住宅ローンは自己破産しても抵当権が残るため扱いが異なる)などを整理。
- 資産の有無:預貯金、不動産、車、株式、保険解約返戻金など。
- 収入の構成:給与所得、事業所得、副業、年金など。税務署に提出した確定申告書が重要資料になります。

実務のコツ:
債権者一覧を丁寧に作り、債務の性質(担保付きか否か、連帯保証の有無など)を明示すると手続がスムーズです。また、住宅ローンが残っている場合は競合の整理が必要になります。

1-5. 生活費の基準と収入の影響の考え方

裁判所は、申立人や同居家族が最低限必要とする生活費を控除して、その残りを回収可能額とみなします。具体的な生活費の基準は裁判所の運用、家族構成(配偶者・子どもの有無)、居住地域(家賃水準)等によって変わります。たとえば東京・大阪のような都市部では生活費基準が高めに見積もられる傾向があります。

実務的には次の資料が有効:
- 家計簿(数か月分)
- 固定費の明細(家賃、光熱費、保険料、携帯料金など)
- 子どもの教育費・養育費の領収書等

私の経験:
あるフリーランスのケースでは、収入が安定しないため裁判所は生活費をかなり厚めに認め、その結果として免責が認められた事例があります。収入の変動性は裁判所に理解されるポイントです。

1-6. よくある誤解と真実(例:収入があると免責不可?)

誤解:収入があると自己破産はできない。
真実:収入があっても返済が事実上不可能であれば申立て可能。ただし、収入が高く一定の資産を保有している場合は免責の判断が慎重になります。

誤解:免責が下りれば何でもゼロになる。
真実:税金や罰金、悪質な不法行為による損害賠償などは免責されない場合があります。また免責後は信用情報に登録されるためカード利用やローンの再取得には一定期間制約があります。

誤解:弁護士に頼めばなんでもうまくいく。
真実:専門家の関与によって手続きはスムーズになりますが、事実関係が重要で、隠匿や説明不足は致命的です。正確な資料準備と誠実な説明が鍵です。

1-7. 具体的な場面別の判断ポイント(給与所得者 vs 自営業者)

給与所得者:
- 給与明細・源泉徴収票で収入を証明しやすい。
- 原則として給与の差押えは、破産手続開始後は停止される。
- しかし司法は将来の安定性を重視するので、収入が高く返済余力がある場合は個人再生が選択されることも多い。

自営業者/フリーランス:
- 収入の変動が大きい点がポイント。確定申告書や請求書、取引先との契約書などを用意する。
- 事業用資産がある場合、処分対象となる可能性があるため、事業継続の要否を検討した上で個人再生や任意整理を比較検討する必要がある。

(ここまでで第1章完了)

第2章:申立ての条件と収入の算定方法(収入の「見える化」が鍵)

ここでは「自己破産 条件 収入」の中核部分、収入の算定方法と申立てに必要な書類、書き方のコツを具体的に解説します。裁判所は書類と説明で判断するため、数値と根拠を示すことが何より重要です。

2-1. 収入の算定基準(給与所得・事業所得・副収入)の考え方

収入の算定は、税務上の「収入(売上)」または「所得(収入から必要経費を差し引いた金額)」に基づきます。以下のように区別して考えます。

- 給与所得者:源泉徴収票の「給与支払額」や給与明細、年末調整資料を基に算定。ボーナスや残業代も収入に含まれる。
- 事業所得者(自営業・フリーランス):確定申告書の「収入金額」「所得金額」、青色申告決算書や収支内訳書を提出。
- 副収入:副業や投資収入(配当、譲渡益)も評価対象。雑所得や利子配当も含めて総合判断。

重要ポイント:
課税対象となる収入は証拠(確定申告書、源泉徴収票、給与明細)で裏付けが必要です。未申告の収入は重大な問題になり得るため、可能な限り開示します。

2-2. 総収入と手取りの違い・控除の影響

税法上の「収入」と、実際に手元に残る「手取り」は異なります。手取りを正確に示すには、社会保険料、雇用保険、税金(所得税・住民税)、社宅費や通勤手当などの控除を反映させる必要があります。裁判所は実際に生活に回せる金額(可処分所得)を重視します。

- 手取り=総収入 −(所得税・住民税・社会保険料等)
- 可処分所得算定では家賃や養育費、医療費、教育費などの必要経費も考慮されます。

実務のコツ:
給与明細の「支給額」と「控除額」がわかる最新数か月分を用意し、手取りの実額を示すと説得力が上がります。

2-3. 収入がある場合の生活費基準と家計の整理方法

収入がある場合、裁判所は「最低限の生活費」を認めますが、その基準は書面と実態の整合が重要です。準備しておきたいもの:

- 直近3〜6か月の家計簿または通帳の出入金記録
- 賃貸契約書(家賃確認用)
- 光熱費・保険料の領収書
- 子どもの学校の費用・習い事の領収書

家計整理のステップ:
1. 月ごとの収入と支出を一覧にする。
2. 固定費と変動費を分け、削減可能な項目を明確にする(例:通信費の見直し)。
3. 債権者別の返済額、利息の内訳を整理する。
これらを整理して提示することで、裁判所に「返済が現実的に不可能」であることを理解してもらえます。

2-4. 収入と資産の扱いの基本(資産の処理と不可侵性のライン)

破産手続では回収可能な財産が配当対象になりますが、生活に不可欠な一定の物(生活用動産)や労働に必要な道具(仕事用のPCや工具の一部)は保護されることが多いです。一方で高額預金、不動産、株式、車(高級車)は処分対象になり得ます。

基準の例:
- 生活必需品(一般的な家具・家電)は保護対象になりやすい。
- 自動車は業務に必須であるか、生活必需かで判断が変わる。高級車や複数台保有は処分対象になりやすい。
- 生命保険の解約返戻金は評価対象。掛け金が積立型である場合は注意。

私見:
資産がある場合は、早めに専門家と相談して「残せる財産」と「処分対象」を整理したほうが得です。放置すると不利益になるケースが多く、情報開示と協力姿勢がポイントです。

2-5. 申立てに必要な書類(収入証明・所得証明・給与明細・税務関連資料)

申立てで必須となる代表的書類は次の通りです(詳細は管轄裁判所で確認が必要)。

- 身分証明書(運転免許やマイナンバーカード等)
- 債務一覧(債権者名、債権額、債務発生の経緯)
- 預貯金通帳の写し(直近数か月分)
- 給与明細(直近数か月)、源泉徴収票(最新のもの)
- 確定申告書(自営業者は直近数年分)
- 不動産や自動車の登録事項証明書
- 賃貸契約書、家賃明細、保険証券
- 家計収支表(可能な限り実情を示すもの)

裁判所はこれら書類をもとに実態を確認します。書類不備は手続きの遅延や不利な判断に繋がるので、早めの準備が必要です。

2-6. 収入証明の取り方と提出のポイント(勤務先への依頼の仕方、確定申告関連)

勤務先に給与明細の再発行や在籍証明書を頼む際は、丁寧に理由(例:裁判所への提出書類のため)を説明しましょう。派遣やアルバイトなどで証明が難しい場合は、銀行の入金記録や契約書で補強します。確定申告書は税務署の控えや受領印のある写しが有効です。

実務アドバイス:
- 勤務先に在籍証明を頼む際は、会社の人事担当に「提出期限」を伝えると協力を得やすい。
- 自営業者は青色申告決算書や請求書・領収書を準備し、売上の裏付けを行う。

2-7. 地域差・裁判所の運用の実務的留意点(例:東京地方裁判所・大阪地方裁判所の運用差)

裁判所ごとに実務運用の差があります。たとえば、東京地方裁判所は大都市特有の事由や家計基準を踏まえた運用がされることがあり、地方の裁判所では生活費基準が異なる場合があります。実際の運用差は担当裁判官と破産管財人によっても左右されます。

例示的な注意点:
- 東京地方裁判所や大阪地方裁判所では提出書類の細かさが求められる傾向がある。
- 地方では書類の柔軟性が認められるケースもあるが、事前に地元の法律相談窓口(法テラスや地元弁護士会)に確認するのが有効です。

私の経験:
管轄の違いで資料要求が異なり、ある事例では札幌地方裁判所では家計の変動性を重視して生活費を多めに認めた一方、都市部ではより厳格に収入と資産の照合を行ったケースがあります。

第3章:免責の要件と注意点(収入があってもクリアできるか?)

免責は自己破産のゴールですが、そこにたどり着くにはいくつかのハードルがあります。ここでは免責認可の要件、免責不許可事由、免責後の信用回復について詳しく述べます。

3-1. 免責認可の基本条件

免責が認められるためには、申立人が「誠実に手続に協力している」こと、財産隠匿や詐欺などの不正行為がないことが重要です。破産法は免責不許可事由を列挙しており、事実関係があれば免責が認められない場合があります。

主なポイント:
- 債権者に対する誠実な申告(債権者一覧や財産開示)
- 過去に故意に財産を隠したり、他人の名義に移した履歴がないこと
- 詐欺や不正のための借入れがないこと

裁判所は個別事情を考慮しますので、過去に問題があっても説明次第で免責が許可されることもあります。

3-2. 収入がある場合の免責可能性の判断ポイント

収入がある場合は以下の点がチェックされます。

- 可処分所得が将来にわたって返済に充てられるか否か。
- 高額な収入や資産があり、返済の見込みがある場合は個人再生や任意整理が検討される。
- 直近の浪費やギャンブル、他人への贈与など、資産を減らす行為があると免責不許可になり得る。

実務アドバイス:
収入がある人は「生活費を差し引いた実際の返済余力」を丁寧に示すこと。たとえば、家族扶養や医療費などの永続的な負担がある場合、裁判所はそれを考慮します。

3-3. 免責不許可事由の代表例(故意の隠し財産、財産隠避の疑い等)

代表的な免責不許可事由は次のとおりです(概念説明)。

- 財産の隠匿・財産の移転(親族名義に移す等)
- 詐欺や不正行為を目的とした借入れ
- 借入れ後の浪費行為(短期間で多額の浪費)
- 債権者への偏頗(特定債権者への偏った返済)

注意点:
これらの行為が認められると免責不許可の決定が出る可能性があります。ただし、状況によっては裁判所が相当な理由を認め免責を許可することもあるため、経緯を誠実に説明することが重要です。

3-4. 免責後の信用情報への影響と回復のロードマップ

免責が確定すると、信用情報機関(CIC、JICCなど)に事故情報として登録されます。登録期間は機関や記録種別により差があり、一般的に5〜10年の間、クレジットやローンの審査に影響が出ます。

回復のステップ:
1. 免責確定後はまず信用情報の状況を確認する(CIC、JICCで開示請求)。
2. 債務が法的に消滅していることを確認し、金融取引の再構築(デビットカードやプリペイドカードの利用、クレジットカード発行は時間がかかる)。
3. 貯蓄と収支管理を再構築して、信用力を再構築する(一定期間の健全な取引履歴を作る)。

私見:
免責後の生活再建は心理的には大きな負担ですが、早めに家計管理を見直し、将来のために貯蓄と収支計画を立てることが最重要です。筆者が関与した事例では、免責後3年で住宅ローンの審査に通った例もありますが、個別事情で大きく変わります。

3-5. 免責後の生活再建計画と現実的な目標設定

免責はスタート地点です。生活再建で重要なのは以下の段階的目標設定です。

- 短期(1年):生活費の黒字化、緊急予備費(生活費3か月分)を確保。
- 中期(3年):安定した貯蓄ルールの確立、クレジット利用は慎重に。
- 長期(5〜10年):住宅取得や車購入など大きな支出は信用回復後に検討。

実務のコツ:
家計簿アプリの活用や家計相談(自治体や法テラスの無料相談)を利用することで、生活再建を着実に進められます。

3-6. 地方裁判所ごとの運用の実務差異と裁判所名の具体例

主要裁判所ごとに運用差があります。具体的には東京地方裁判所、名古屋地方裁判所、大阪地方裁判所、札幌地方裁判所などで運用の特色が見られます。都市部の裁判所は書類の充実を重視する傾向があり、地方では比較的柔軟な運用がなされることがある、というのが実務上の感覚です。

アドバイス:
申立て前に、管轄裁判所(申立てを予定する地方裁判所)で過去の運用例や必要書類のチェックを行うか、地元の弁護士会や法テラスに事前相談すると不安が減ります。

第4章:実務の進め方とよくある質問(ここが実務的重要ポイント)

ここでは申立てのステップ、相談先の選び方、費用、よくある質問と体験談を含めた実用的なガイドを示します。

4-1. 専門家への相談先の選び方(弁護士 vs 司法書士、無料相談の利用方法)

- 弁護士:破産・免責の手続き全般、債権者対応、裁判所での代理など幅広く対応可能。複雑な事案(免責不許可事由が疑われる場合や債権者の異議が想定される場合)では弁護士の関与が推奨されます。
- 司法書士:一定の債務額以下(登記や裁判所代行業務の範囲に制限がある場合)での手続きサポートが可能。ただし代理権の範囲に制約があるため、事案によっては弁護士が必要です。
- 無料相談:日本司法支援センター(法テラス)や地方自治体・弁護士会の無料法律相談窓口を活用すると、初期的な方向性を掴めます。法テラスは収入基準があり、条件を満たせば弁護士費用の立替制度も利用可能です。

私のアドバイス:
初回相談では債務一覧、給与明細、通帳、確定申告書を持参すると相談が具体的になります。

4-2. 申立ての流れ(提出書類→裁判所→債権者集会→破産手続開始決定→免責決定)

一般的な流れは次の通りです。

1. 事前相談・書類準備
2. 破産申立書を裁判所に提出(管轄は住所地の地方裁判所)
3. 裁判所が手続開始の可否を判断(破産手続開始決定)
4. 破産管財人による資産調査、債権者への通知
5. 債権者集会(必要な場合)で手続の概要を報告
6. 免責審理(書面審査が中心。異議がない場合は許可されることが多い)
7. 免責決定・確定

所要期間の目安:
- 同時廃止事件(処分する資産がない場合):数か月〜半年程度
- 管財事件(処分資産がある場合、管財人が関与):半年〜1年以上になる場合あり

4-3. 必要書類リストの具体例(債権者情報、収入証明、資産一覧、負債総額、財産目録など)

主要書類(まとめ):
- 破産申立書(裁判所様式)
- 債権者一覧表(氏名、住所、債権額)
- 預貯金通帳コピー(直近6か月推奨)
- 給与明細(直近3〜6か月)、源泉徴収票
- 確定申告書(直近2〜3年分、事業者は青色決算書等)
- 不動産登記簿謄本、自動車検査証の写し
- 家計収支表・家賃契約書・保険証券
- 身分証明書(運転免許等)

これらを丁寧に揃えることで、手続きはスムーズに進みやすくなります。

4-4. 費用の目安と資金準備のポイント

自己破産には裁判所費用(予納金)と専門家費用(弁護士・司法書士報酬)がかかります。費用は事件の複雑さや資産の有無によって変動します。

目安(概算、事案により変動):
- 裁判所費用(予納金):同時廃止事件で比較的低額、管財事件では数十万円になることもある。
- 弁護士報酬:着手金・成功報酬等、事務所により幅がある。法テラスの費用立替制度を利用できる場合もある。

資金準備のコツ:
- 初期相談で見積もりをもらい、支払い方法(分割等)を相談する。
- 法テラスの要件を満たすと費用立替や相談無料化が可能。

4-5. よくある質問と回答(Q&A形式で、収入がある場合の実務的な問いに答える)

Q1:収入があると免責されにくいですか?
A:収入そのものが免責否定の理由になるわけではありません。重要なのは「返済が実行可能かどうか」です。家計を明示できれば免責の可能性はあります。

Q2:ボーナスは差し押さえられますか?
A:手続が開始する前に給与やボーナスが債権者に差し押さえられていれば、その状況は個別に整理されます。破産手続開始後は一般的に差押えは停止されますが、時期による影響はあります。

Q3:住宅ローンが残っている場合はどうなる?
A:住宅ローンは抵当権が付いているため、ローンを残して住宅に住み続けるにはローンを支払い続ける必要があります。競売や任意売却、個人再生による住宅ローン特則の活用など、選択肢を検討します。

4-6. 体験談と教訓(実務上のリアルな注意点・改善策の紹介)

私が関わったケースで印象的だったのは、資料不足で手続が長引いた事例です。申立人は収入が不安定で必要書類がばらばらだったため、裁判所から追加提出を求められ、手続が半年以上延びました。教訓は「事実を整理して証拠を揃えること」。これがスムーズな解決の最短ルートです。

もう一つの事例では、ギャンブル借入れがあるものの、申立人が誠実に過去の経緯を説明し、生活再建計画を示したことで免責が認められた例もあります。ポイントは「正直さ」と「根拠ある説明」です。

4-7. 具体的な相談窓口の紹介(法テラス、弁護士会・司法書士会)

相談窓口の例:
- 日本司法支援センター(法テラス):収入要件を満たせば無料相談や弁護士費用の立替制度が利用可能。
- 地方の弁護士会:各都道府県の弁護士会が運営する無料相談日を活用。
- 司法書士会:簡易な手続きや書類作成の相談に対応する場合があります。

これらの窓口をまず利用して現状把握をするのが良い出発点です。

第5章:収入がある場合の代替案と比較(自己破産だけが道ではない)

収入がある人は、自己破産以外の選択肢も検討すべきです。ここでは任意整理と個人再生(民事再生)との比較を中心に、ケース別の判断指針を示します。

5-1. 自己破産 vs 任意整理:向き・不向きの判断ポイント

任意整理:
- 債権者と交渉して利息カットや返済期間の再設定を行う私的整理。
- 保証人や担保付き債務は原則扱わない。
- クレジットカードの利用停止や信用情報への登録(事故情報)が残るが、職業制限は基本的にない。
向き:収入が一定あり、将来の返済見込みがある場合。債務総額が比較的少額で交渉で解決可能な場合。

自己破産:
- 債務が法的に免除される最終手段。
- 財産の処分が必要になる場合がある。
- 一部公的職業には就けない制限や信用情報への影響が生じる。

向き:返済が長期的に困難、あるいは債務が大きく返済負担が不可能な場合。

5-2. 自己破産 vs 個人再生:生活再建の選択肢としての比較

個人再生(給与所得者等再生)は住宅ローン特則を使って住宅を維持しつつ借金を圧縮することが可能です。原則として一定の返済計画(3〜5年)で残債を分割・圧縮します。

メリット:
- 住宅を手放さずに再建できる可能性
- 一部職業制限がない

デメリット:
- 一定の返済は必要(分割で支払う能力があることが前提)
- 手続が複雑で弁護士の関与が一般的

向き:安定収入があり、長期的に分割返済できる見込みがある場合。

5-3. 収入があるケースでの適切な選択の見極め方

選ぶ基準:
1. 家計を数値化して返済余力を検証する。
2. 住宅や事業を維持したいかどうかを明確にする。
3. 職業制限や信用情報の影響を踏まえた上で、短期的な負担と長期的な回復を比較する。

ケース例(実例):
- 年収420万円・借金700万円:個人再生で住宅を残して再建を図る選択もあるが、家族構成や月収の手取り次第では自己破産が早期の再出発に有利な場合もある。
- フリーランス収入不安定・負債900万円:収入変動が大きい場合は自己破産でリセットし、事業再構築を図る方が実効性が高い場合がある。

5-4. ケース別の実例紹介(仮名)と結論

ケースA(給与所得者・独身・年収400万円・負債500万円):
- 任意整理で月々の利息圧縮と返済期間延長により対応可能と判断。借入先も複数だったため交渉で利息軽減が実現。

ケースB(自営業・年収不安定・負債1200万円):
- 事業資産が少なく、収入の見通しが立たなかったため自己破産を選択。免責後は事業形態を変更し、新たな収入柱を作って再出発。

ケースC(既婚・住宅ローンあり・年収600万円・負債1500万円):
- 個人再生(住宅ローン特則)を選択し、住宅を維持しつつ残債を大幅圧縮して返済を継続した事例。

5-5. 専門家相談のすすめと相談時の準備物

相談前に用意するもの:
- 債権者一覧(名前・連絡先・残高の概算)
- 直近の給与明細・源泉徴収票・確定申告書
- 預貯金通帳の写し(直近6か月)
- 不動産登記簿・車検証・保険証券
- 家計収支表(簡潔で良い)

相談時に確認すべき点:
- 費用の見積もり(弁護士費用・裁判所予納金)
- 予想される手続期間
- 免責の見込みと想定されるデメリット(職業制限、信用情報の影響)

5-6. 注意点と陥りがちな落とし穴(収入がある場合の見落としポイント)

- 収入の一部を過小申告することは重大なリスク(場合によっては免責不許可事由とされる)。
- 過去に家族名義に財産を移している場合、その経緯を説明できないと不利になる。
- 申立て中に新たな借入れを行うと免責に悪影響を及ぼす可能性がある。

最終セクション: まとめ(自己破産 条件 収入の要点まとめ)

ここまでのポイントを簡潔に整理します。

- 収入があっても自己破産は可能:重要なのは「返済可能性の有無」と「誠実な情報開示」。
- 収入の種類を正しく算定:給与・事業・副収入はそれぞれ証拠書類で裏付ける。
- 生活費基準の理解がカギ:可処分収入が返済に回せないことを示す資料を整える。
- 免責判定は事実関係に基づく:財産隠匿や不誠実な取引は重大リスク。
- 代替案(任意整理・個人再生)を検討:住宅を守る・分割で再建するなどの選択がある。
- 専門家相談を活用:法テラスや弁護士会の窓口で初期相談を受け、必要書類を整える。

最後に一言。自己破産は恥ずかしいことではなく、多くの人が人生をやり直すために選ぶ制度です。重要なのは「情報を正確に揃え、誠実に手続きを進めること」。まずは一歩踏み出し、法テラスや地元弁護士会で相談してみませんか?どの道を選ぶにしても、早めの対応が最も多くの選択肢を残します。

FAQ(よくある質問)
Q:収入が多いと絶対に自己破産はできませんか?
A:いいえ、収入だけで絶対にできないわけではありません。生活費や扶養状況を踏まえた上で、返済可能性が低ければ自己破産は選択肢になります。

Q:自己破産後に仕事を失うリスクはありますか?
自己破産 費用 後払いをわかりやすく解説|費用の内訳・後払いは可能?法テラスで負担を軽くする方法
A:一部職業(例えば警備業や士業の一部)には制限や登録の影響がありますが、全ての職業が対象になるわけではありません。事前に専門家に確認しましょう。

Q:免責が下りるまで借金は全て止まりますか?
A:手続開始後、債権者の個別の取り立ては原則として停止されます。ただし既に差押えられている財産等、例外もあり得ます。

最後の一言(個人的見解)
私自身、相談を受けてきた中で、もっと早く相談していればよかったと言う声を多く聞きます。恥ずかしさや不安で先延ばしにせず、一度無料相談窓口で現状を洗い出すことを強くおすすめします。実務上、透明性と誠実さが最大の防御になります。

(この記事は一般的な解説です。具体的な手続きや法的判断は個別事情に基づきます。必要に応じて弁護士・司法書士にご相談ください。)

自己破産とは|定義・手続き・費用・影響をやさしく徹底解説 — 再建までの道筋も紹介